EVしかないテスラ、需要減速で苦難の道が待ち受ける

  • テスラはついにEVの需要減速に対処しなければならなくなった。
  • 同社は競合他社のようにハイブリッド車やガソリン車には頼れない。
  • イーロン・マスクCEOは、ハイブリッド車を優先する業界の姿勢が、第1四半期の業績不振の一因だと非難した。

テスラ(Tesla)はついにEV(電気自動車)需要の減速に対応する必要に迫られており、イーロン・マスク(Elon Musk)CEOの戦術は自動車業界の競合他社とは異なるものになりそうだ。

フォード(Ford)GMは、コスト削減とガソリン車の需要増により、第1四半期の業績はアナリスト予想を上回った。一方テスラは、同期の売上高と販売台数が大幅に減少し、業績は予想を下回った。

EVは、今後数年にわたって自動車業界における生産計画を支えるものになると見られてきたが、この1年で需要は減速し、成長にブレーキがかかっている。そのため、GMやフォードなどは戦略の転換を余儀なくされ、その成果が出始めている。

GMは長年にわたってEVの技術開発に巨額の投資を行ってきたが、そのペースを緩めていくと、メアリー・バーラ(Mary Barra)CEOは先日、投資家に向けて語った。

「我々は、収益性の向上と投資規律遵守を通して、フリーキャッシュフローの増大に焦点を当てることに立ち戻ることにした。つまり、揺るぎない顧客重視の姿勢はそのままに、これまでと同じ成果を、より少ない支出で実現する方法を見い出そうとしている」

GMの北米における10.6%という高い利益率は、収益性の高いピックアップトラック事業に支えられており、それが同社の業績を大幅に押し上げてきた。

一方、EVに関しては、GMをはじめとする大手自動車メーカーで、そこから利益を生み出した企業はない。EV事業の業績を公表しているフォードは、第1四半期に同部門で13億2000万ドル(約2080億円)の損失を計上した。

テスラ、EV需要減速に立ち向かう

第1四半期業績に関してテスラと従来の競合企業との間には歴然とした差が生じており、EVの需要減速がついにテスラに影響を与えるようになったことを示している。

2024年の始めまで、テスラはその高い利益率を活かして、倹約に勤しむ新たな顧客層でも買える価格に下げることができた。テスラ車で最も手頃な価格の「モデル3」と「モデルY」の販売台数は、2023年を通して増加し続け、この部門は大きなプレッシャーを受けていたにもかかわらず、200万台を納入するという高い目標をほぼ達成した。

しかし、大手自動車メーカーが、テスラに占領されていない新たな人気部門であるハイブリッド車に参入できるようになったことで、立場は逆転した。

ハイブリッド車やガソリン車に頼れないのであれば、テスラのEV需要減速へのアプローチは、生産コストを下げ、待ち望まれてきた手頃な価格のモデルを提供することにかかっている。だがこのような理想は、一夜にして達成できるようなものではない。

このことはマスクを苛立たせたようで、第1四半期の業績不振は、ハイブリッド車に対する業界の新たな取り組みも一因となっていると非難した

テスラは、「我々の規制クレジット・ビジネス(大手自動車メーカーが温暖化ガス排出枠をテスラから購入していること)にとってはプラスだが、我々の使命に沿ったEVの普及を業界が推進し続けることを望んでいる」と記している。

2024-05-10T01:39:15Z dg43tfdfdgfd