セリカはスペシャリティカーとして人気を博したスタイリッシュクーペなのですが、ラインナップには特殊なモデルが存在していました。その一台が「セリカGT-FOUR RC」です。
トヨタ「セリカGT-FOUR RC」(写真提供:M:CRAFT)セリカがデビューしたのは1970年。マスタングを彷彿とされるハッチバッククーペでした。スタイリッシュなデートカーでしたが、トヨタではそのセリカの競技での活躍を託しましたのです。
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その象徴的なモデルが、5代目となるST185型です。デビューは1989年ですが、戦闘力を高めるために小改良が繰り返され、1991年に登場したセリカGT-FOUR RCでその絶頂を迎えます。
「RC」とはラリーコンペティションの頭文字であることから想像するように、WRC世界ラリー選手権での勝利を得るために開発されました。三菱ランサー・エポリシューションやスバル・インプレッサと、激しく戦ったのです。
搭載するエンジンはライバルと同様に直列4気筒2リッターターボであり、グラベル(未舗装路)での戦闘力を求めて4輪駆動方式が採用されていました。
エンジンはトヨタ伝統の3S-GTEを搭載z(写真提供:M:CRAFT)エンジンはトヨタ伝統の3S-GTEであり、排気側のタービンをより耐久性を求めてセラミック製からメタルに代えられています。吸気温度を下げるためのインタークーラーも、灼熱でのステージを考慮し水冷式に改められています。
激しいステアリング操作で効きが甘くなりるパワーステアリングにも、冷却用のクーラーが組み込まれていました。市街地での使用ではまったく問題にならないパーツにもメスを入れています。実践での戦闘力を徹底的に高めていたのです。
熱対策は多岐に及びます。フロントバンパーの開口部を広げることでフレッシュエアを取り込みやすくしたばかりか、ラジエターに水を吹きかける装置を組み込むことでオーバーヒート対策も万全です。
凄みを感じるのは、ボンネットのインタークーラー開口部の右側に設けられた”ホール” (写真提供:M:CRAFT)僕が凄みを感じるのは、ボンネットのインタークーラー開口部の右側に設けられた”ホール”です。この小さな穴から走行風を取り込み、エンジンのタイミングベルトを冷却していたのです。
セリカGT-FOUR RCには、さまざまな熱対策がされていますから、それは熱に対してウイークポイントを抱えていることを晒すことでもあります。ですが、逆に言えば、ボンネットに穴を開けてまで冷却するほど、勝敗にこだわっていたのです。勝利への執念を感じますよね。
ST185型セリカ GT-FOUR グループAラリーカーちなみに、セリカGT-FOUR RCは当時のWRC世界ラリー選手権に参戦する条件だったグループA規定を満たすために最小の5000台が生産されました。
スタイリッシュなデートカーから派生したセリカが、泥だらけのラリーでの速さを期待されたのですから、少々無理があったと言わざるを得ませんが、それがかえってこのセリカGT-FOUR RCの凄みを感じさせるのも事実ですね。
◾️トヨタ「セリカ2000GT-FOUR RC」
<エンジン>
形式:3S-GTE
種類:直列4気筒DOHC16バルブ・ターボ
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
総排気量(cc):1998
圧縮比:8.8
最高出力(ps/r.p.m):235 (173kW)/6000
最大トルク(kg-m//r.p.m):31.0kg・m(304.0N・m)/4000r
燃料供給装置:EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量(リットル):68
<寸法・定員>
全長(mm):441
全幅(mm):1745
全高(mm):1305
ホイールベース(mm):2525
車両重量(kg):1460
乗車定員(名):5
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